関電告発10月6日検察庁申し入れ

内容は以下の通りです。2度以上にわたって不起訴という報道がなされましたが、特捜部は鋭利捜査中とのこと。頑張って下さい。

大阪地方検察庁 検事正

殿

                     2021年10月6日

「司法の前衛たる役割」を果たすべく、関係者を直ちに起訴願いたい。正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない[1]

                関西電力告発弁護団団長  河合  弘之

                        事務局長 加納  雄二

1 本件を不起訴とすることは、検察の権威を著しく失墜させ、巨悪をはびこらせるだけである。

 別紙1は、9月29日の読売新聞記事「【独自】関電元会長ら不起訴へ…金品受領・報酬補填巡り、証拠不十分か」(資料1)へのコメントだが、肯定的なものは皆無である。本件は「一企業の金品受領問題でなく、国民のライフラインである電気事業を担う準公的な企業の許されない大問題である」(コメント)

2 刑事責任を追及できない根拠は無い。

読売の記事によれば、「収賄容疑に対し、八木氏らは特捜部の聴取に金品は預かっていただけと主張。贈賄側とされる森山氏が死亡していることも捜査を困難にした。特別背任容疑については、嘱託報酬の支払いを決めた当時の内部文書などを精査し、刑事責任の追及を最後まで検討した。しかし、森氏らは元役員への報酬は嘱託業務への正当な対価だと説明。これを覆す証拠が得られなかったとみられる。」 しかし、「万引きして預かっていたという論理がまかり通るなら日本は犯罪者天国ですね。これだけ明白で大規模な案件、訴追できないのなら司法の存在意義すら問われる」(別紙1コメント)とあるとおり、高額のお金を、期限の定めも無く預かることはありえない。森山氏は死んでも事実関係は明白。国税も処分をした。

特別背任についても、報酬減額の補填、税金分補填であることは明白。国税も報酬であることを否認し追徴課税。どこが嘱託業務の正当な対価なのか?
 関電は、「大阪国税局の税務調査を受け、2019年3月期までの4年間に計約2億700万円の申告漏れを指摘されたことを明らかにした。国税局は大半を悪質な所得隠しと認定。重加算税を含む追徴課税は約3200万円で、関電は同日納付」(資料2 毎日新聞7月27日)とあるとおり、国税から悪質と認定されている。

不起訴は、巨悪を眠らせないという公益の守護者としての検察の使命に悖る。」

3 告発から更に著しく期間が経過している。

我々が8月26日提出した書面の通りだが、昨年10月5日、ようやく御庁に告発状が正式受理された。それからも1年が経過した。事件発覚(報道スクープ)からは2年以上経過した。

4 森山関連の事件を時効にかけようとしているのか。

  本件告発は2017年1月以降の事実関係に絞っているが、このままでは、次々と時効にかかってしまう。しかも仮に不起訴となって、検察審査会に審査の申立をして、そこで起訴相当とされても、実際の起訴に至るまでには2年程度かかることもある。そうなると、森山関係の事件は全て時効になる可能性も大きい。

5 国税当局は、役員報酬の減額分を退任後の「嘱託報酬」と仮装して補填していたと認定。経費としての計上は認められないとし、重加算税の対象とした。関西電力はそれの受け入れを表明した(資料3)。検察庁も同様に該当者の処分を急ぐべきである。

6 8月26日提出の書面記載の通り関西電力は、金品授受問題が発覚した2020年3月以降も、元助役の関連会社所有地を高値で賃借していたことが明らかになっている。

  これ以外にも、4月には、カルテル容疑で公取委の立ち入りを受けた(資料4、資料5、新聞社説で厳しく批判されている)。

公取委がカルテル容疑で大手電力会社に立ち入るのは初めてであるし、電力自由化の根幹を揺るがす重大問題である。

  また、7月には複数の子会社社員が受験要件をごまかして国家資格を不正取得していたことが判明した(資料6)。

9月には送電線周辺の樹木を伐採する際、地権者へ社内規定以上の補償費を支払っていたことも発覚した。担当者は聞き取りに対し「地権者ともめることなく早く処理をしたかった」と述べたといい、業務優先、ルール軽視の体質が明らかになった(資料7)。

7 関西電力には元検事総長を始め多くの検察OBが役員、顧問等としてかかわっており、それらの人々への配慮から、本件を不起訴にするのでは無いかとの懸念もある。しかし、時の政権の圧力に屈してならないという以前に、検察OBの圧力に屈してはならない。

検察庁法改定案反対 検察OBの意見書(別紙2)には、以下の通りの記載がある。

「検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。検察官の責務は極めて重大であり、検察官は自ら捜査によって収集した証拠等の資料に基づいて起訴すべき事件か否かを判定する役割を担っている。その意味で検察官は準司法官とも言われ、司法の前衛たる役割を担っていると言える。」

  一日も早く本件の捜査を進展させ、起訴することにより、公益の守護者としての検察の存在意義と権威を示して頂きたい。

資料1 9月29日 読売新聞

        関電元会長ら不起訴へ…金品受領・報酬補填巡り、証拠不十分か

資料2 7月27日 毎日新聞

        関電が2億700万円の申告漏れ 税務調査で大阪国税局が指摘

資料3 9月22日 関西電力株式会社

       大阪国税局からの更正通知書の受領を踏まえた対応について

資料4 4月23日 産経新聞  電力カルテル容疑 安定供給と競争の両立を

資料5 7月18日 日本経済新聞  信頼損なう電力カルテル容疑

資料6 7月30日 日本経済新聞

        国家資格を6人不正取得 関電子会社、施行管理技士

資料7 9月14日 朝日新聞

関電子会社、電線周辺の伐採業務で架空発注 1千万円を不正支出

別紙1

 9月29日の読売新聞記事【独自】関電元会長ら不起訴へ…金品受領・報酬補填巡り、証拠不十分か(資料1)へのコメント(一部)

(yahoo)https://news.yahoo.co.jp/articles/3c48835969ca29523c764b07248d8a28432628ff/comments

・あれだけ明白な金品の受領と高級スーツまで受け取り着用している事実と本人も受理を見てめている事件に、またしても大阪地検特捜部は不起訴処分決定をしてしまった。

 一企業の金品受領問題でなく、国民のライフラインである電気事業を担う準公的な企業の許されない大問題であること、関電幹部は多額の報酬を受け取り、報酬カットしても別口で補填までしていたことが明らかになっており、反省すら見られない。 起訴して裁判で真実と全体的な解明をすべきです。

・検察庁も上級国民には甘いんだ。証拠不十分って、自白してたように思えるけど、、違ったかな?日本の警察や検察は下級国民には厳しくするのにな?

 これって国民は納得するのかな?検察審査会で問題にした方が良いのでは?

・万引きして預かっていたという論理がまかり通るなら日本は犯罪者天国ですね。これだけ明白で大規模な案件、訴追できないのなら司法の存在意義すら問われるのでは

・日本はお金に関する案件に甘いと思います。今回の件も今の日本政府と同じ

 これでは何時まで経っても日本は変われない

 厳罰をもって今後こう言った賄賂がなくなる事を願います

・伊藤詩織さん強姦事件の容疑者山口敬之元TBSワシントン支局長に対する逮捕状を握りつぶしたとされる中村格氏が警察庁長官に昇進したことと言い、今回の3億6千万円に上る金銭収賄事件の関電八木誠元会長不起訴と言い、近時警察・検察に対する信頼は地に落ちたどころか消失した感がある。  安倍前首相の森友学園問題・加計学園問題・桜を見る会問題・財務省公文書改竄問題等等、司法・立法・行政に対する国民の信頼はここ数年で見る影もなくなり、「上級国民」なるおかしな言葉さえ世の中に当たり前に使われ始めていることを本当に残念に思います。

・日本はやはり東アジアの辺境から脱却できないですよね。これが政府とは縁遠いただの民間企業だったら確実に起訴して断罪したでしょうね。

検察官ももう少し使命感が欲しいよね、出世したいのは分かるけれど、人生短いよ。

・大阪の検察は国民のために真剣に仕事をしていない気がしている。

 森友、関電ほかにも巨悪を見て見ぬふりをしていることがあると思う、巨悪が不正の証拠もあるような気がしているが何もできないなんてとても情けない。

こんなことを見逃すなんて誰を捕まえて仕事をするんでしょうか。

それに比べて広島の検察、東京の検察はまだ真剣に仕事をしている。

別紙2

検察庁法改定案反対 検察OBの意見書(全文)

 松尾邦弘・元検事総長らが検察庁法改定案に反対して15日に発表した検察OB14人連名の意見書の全文は以下の通り。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-05-17/2020051704_08_1.html


[1] 別紙2

加納 雄二 について

大阪の弁護士です。債務整理、離婚、相続、労働事件等幅広く取り組んでます。 加納雄二のホームページ
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