原子力規制委員会噴火対策放棄は事故を起こして良いという判断だ。

原子力規制委員会事務局の原子力規制庁は、火山の巨大噴火を「低頻度な事象」と位置付け、巨大噴火に伴う原子力災害のリスクは「社会通念上容認される水準」との見解をまとめた。このことは、「巨大噴火での災害リスク「容認」…原子力規制庁」として報道されている。この見解は従前の規制委員会の見解、判断と矛盾し、を大きく後退させるものであり、また伊方原発の差し止めを命じた広島高裁の判断を無意味にするもので、明らかに誤っている。
即ち、何かが「おかしい」と言われたら、直す(改善、対策する)のが当たり前。ところが、規制委員会は、おかしくないことに変えてしまった。自分の言ってきたこととも矛盾する。こんなこと、一般社会では絶対通用しない。小学生の道徳の教科書も読んでないのかと言いたいのですが、ことは原発の安全対策の問題であり、見過ごすことはできません。。
1 広島高裁が、伊方原発の運転差し止めを命じました。
 昨年12月13日、広島高裁が、伊方原発3号機の運転停止を命じる仮処分決定を言い渡しました。
2 差し止めの理由は、破局的噴火の可能性が否定できないということ。
規制委員会の火山影響評価ガイド(以下、火山ガイドと言います)には、「原子力発電所の運用期間中に火山活動が想定され、それによる設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価できない場合には、原子力発電所の立地は不適と考えられる」とあります。この規定を前提に、広島高裁は、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇山について「四電の地質調査やシミュレーションでは、過去最大の約9万年前の噴火で火砕流が原発敷地の場所に到達した可能性が十分小さいとは評価できない」などと述べ、原発の立地として不適と断じました。きわめて単純な理屈です。
 このような判断の前提には、もちろん、噴火はいつ起こるかわからないとすることがあり、決定文には多くの火山学者の論文が引用されてます。
3 さらに、広島高裁は、阿蘇山の噴火に伴う噴石や火山灰などの降下物についても、四 国電力が想定した九重山(大分県)噴火の「2倍近くになる」と説明。「伊方原発から見て阿蘇山が九重山より遠方に位置することを考慮しても、四電の降下物の厚さや大気中濃度の想定は過小」と判断。「住民らの生命身体に対する具体的危険が推定される」と述べました。
4 ところが、今回、規制委員会は、このような火山噴火対策は不要と言ってしまったのです。
規制委員会は「現在の火山学の知見に照らし合わせて考えた場合には運用期間中に巨大噴火が発生する可能性が全くないとは言い切れないものの、これを想定した法規制や防災対策が原子力安全規制以外の分野においては行 われていない。したがって、巨大噴火によるリスクは、社会通念上容認される水準であると判断できる。」
と言ってますが、これは誤りです。

5 原発災害による被害は、自然災害を大きく超える。
 「原子力以外の分野では、巨大噴火を想定した法規制や防災対策が行われていない」というが、火山の噴火が原因となる大規模な二次災害を引き起こす危険性のあるものが、原発以外には考えられないのだから当然である。
福島がそうであるように、原発事故は自然災害の被害そのものに追い打ちをかける、いやそれを遙かに超えるとんでもない大災害(放射能汚染、回復不能の現場等)をもたらすのです。規制委員会の言う、「したがって、(一般に)巨大噴火によるリスクは、社会通念上容認される水準であると判断できる。」としても、原発事故については、巨大噴火による<原発事故による大災害の>のリスクは、社会通念上容認される水準であると判断できる。」ものではありません。
しかも、規制委員会は巨大噴火(専門的にはVIE7レベル)のみならず、VIE6レベルのものも(より小規模だが火山灰は降って来る)対応しないと言ってます。
6 規制委員会は、明らかに、広島高裁の決定を踏みにじるものです。完全に誤った判断です。
これは「赤信号を渡ったから違反だ」と言われて、「赤信号を全部青に変えたから、問題は無い」と言うに等しい暴挙です。赤信号を無くしたら、暴走が起こって事故が多発するだけです。規制をする、ルールを定めるのは、事故を防ぐためです。その点が全く忘れられています。

7 以前の規制委員会や、政府の見解とも矛盾する。絶対にあってはならないことだ。、
 もともと、規制委員会は、巨大噴火に対し、事前に予測して、対応すると言い、、噴火の兆候など何らかの異常が原発周囲で検知された場合に原子炉停止を事業者に求めることを含め、「空振りも覚悟の上で処置を講ずる」とする方針でした。これは、。火山が多い日本にある原発の安全性の信頼を高めるのが狙いでした。安倍総理も「桜島を含む周辺の火山で今般、御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、(川内原発の)再稼働に求められる安全性は確保されている」「いかなる事情よりも安全性を最優先させ、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合した」と強調していた。
今回の「巨大噴火での災害リスク容認」の事実は、

加納 雄二 について

大阪の弁護士です。債務整理、離婚、相続、労働事件等幅広く取り組んでます。 加納雄二のホームページ
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