原発事故は終息に向かっている?

 原発事故は収束に向かっているといえないのではないか。9月下旬に冷温停止状態になるのが早められてられるとの報道がなされている。
 しかし、これは早く事故を収束したいという東電や政府の願望を報道用の事実にすりかえただけではないか。大本営発表ではないか?(太平洋戦争時に戦火を誇大に報道し、戦争が不利なのに、有利だと錯覚させたこと)。単に自分が安心したいことを国民に押し付けているだけだと思うのだが。地元住民、現場へ早く帰りたいとか、風評被害が無くなって欲しいと思う商売人の人たちなどに空しい期待を与えるだけでは無いか。
報道するにしても、願望は願望として、早めたいという程度の報道にすべきだ。
あくまでも、事実を中心にすべきでないか。
 福島の地元新聞福島民友の9月26日の報道は厳しい見方をしている。「冷温停止政治判断か」「100度間近の第一原発」「年内を宣言も達成いつ」「甘い定義に専門家からも批判」とのタイトルがある。
 元々原発事故が収束に向かっているとの報道は4月からの工程表にも現れる。これだって早すぎた。この工程表には無かったが、その1ヵ月後に原発1号炉から3号炉の3機ともメルトダウン(メルトスルー)の事実がようやく公表された。
 1979年3月のアメリカのスリーマイルの事故では、燃料棒が下のほうで固まり、それを取り出したり、固まったのを壊したりする新しい機械を作るなどして、撤去には10年かかっている。色々な機械、ロボットを作ったりして苦労している。
 今回の福島の事故では、燃料棒の溶解の程度が遥かに大きく、しかも、燃料棒が格納されている圧力容器をつきぬけ、格納容器に落ち、場合によってはその外側の格納容器も突き抜けているといわれている。スリーマイルとは「状態が異なる」。しかもそれが3つもあるし、当然それぞれが同一ではない。
 まだ、原発事故収束の見込みを述べられる時期では無いのではないか?

加納 雄二 について

大阪の弁護士です。債務整理、離婚、相続、労働事件等幅広く取り組んでます。 加納雄二のホームページ
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