電力供給不足になるという宣伝は、原発を維持させようとする意図のもとでの大本営発表?

元々、日本の電力会社の発電所の発電能力は、原発が無くても、十分に足りることになってます。相当以前から指摘されていたことですが。

例えば、アエラ11.7.18号記事「作られた電力不足」によると、2009年の供給ピークは1億5900万KW、火力と水力の供給容量は、1億8800万KW(原資料電気事業便覧)

 今回の事故で原発が止まったときに、東電はすぐに計画停電を始めた。私は上記のように、供給電力には余力があるのに何でこんなことするのかと不思議に思ったのです。計画停電で実害を被った人は損害賠償請求も可能だったのではないでしょうか。

  実際、例えば福島の原発群の直ぐ南に広野火力発電所があり、380万kwの発電能力を有します。ここも余り使ってなかった筈です。原発1基が100万kwとすると約4基分です。
この広野発電所はオンボロのようですし、地震で被災して、補修に多少時間を要したようですが、5月には稼動するようになったようです。

 5月14日の東京新聞では「東電は出力三百八十万キロワットの福島県・広野火力発電所が復旧し、今夏の予想ピーク需要、五千五百万キロワットの供給確保に見通しがついたのに、国会議員らにはそれを伝えながら、肝心の消費者にはだんまりを決め込んだ。」「供給確保の情報を表に出さず、電力不足を大々的にキャンペーンすることで、脱原発を牽制(けんせい)したと受け取られても仕方がない。」と厳しく批判されてます。

 関西ですが、和歌山には御坊、海南といった火力発電所があり合計400万kwの発電能力があります。資源エネルギー庁のデータによれば、今年の3月では、発電所の稼働率は、原発約80%、火力約40%となってます。

 とすれば、御坊や海南の火力発電所をフル稼働させれば、原発2基分以上、少し前に発電を再開した舞鶴の火力発電所、70万kwを加えれば3基分以上になります。ついでに少しつけ加えると、主に夜間の原発の電力を利用した揚水発電所というのがあり(但し、火力でも代替可能とか)、100万kw単位の発電能力があって、これも稼働率は低いようですし、発電効率も悪いようです。ただ、昼間の発電力の補完にはなるようです。7月26日の毎日新聞によると、電力会社が、揚水発電の稼動力を過小評価しているとの記事がありました。

 上記引用の東京新聞にあるとおり、東電による計画停電や、電力不足キャンペーンは、原発生き残りのための誇大宣伝=大本営発表だと思います。
 
 今年の夏も暑そうですし、電力が多少不足することもあるかも知れませんが、今止まっている原発をあわてて動かさなくても、「直ちに供給能力に影響のあるものではなく、心配はいらない」と官房長官殿が宣言して頂きたいものです。

 おまけ・・節電に努力しようとすること自体には反対しません。例えば、ネットで検索すれば判ることですが、夜間の日本は明るすぎます。

 

加納 雄二 について

大阪の弁護士です。債務整理、離婚、相続、労働事件等幅広く取り組んでます。 加納雄二のホームページ
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