川内原発仮処分についてその3

3 火山活動についての鹿児島地裁の判断(括弧内は私のコメント)
 「これに対し、カルデラ火山の破局的噴火の活動可能性が十分に小さいとはいえないと考える火山学者も一定数存在するが、火山学会の多数を占めるものとまでは認められない(多数決の問題ではない)。また、そのように考える火山学者においても、破局的噴火の頻度が小さいものであるとの認識は共通しており、そうした火山学者の指摘は、破局的噴火については観測例が存在せず、その実体や機序が不明で噴火を予知することも困難と考えることなどから破局的噴火の活動可能性を否定できないとする趣旨とみるべきである(不確定要素があるから無視して良いということではない)。」
趣旨が判りにくいが、破局的噴火がいつ来るか、ということを予測できる人なんていない。御岳山の噴火を、東日本大震災を、阪神淡路大震災を誰が予測出来た?できないからこそ、それなりの対策をすべきでは無いですか?
あの産経新聞にも、火山学者が現状での再稼働、規制委員会の方針をを批判し、それに対し、田中委員長が「だから火山学会は寝ないで観測してくれよ」と爆発したと報じられている。
http://www.sankei.com/premium/news/141128/prm1411280003-n1.html
鹿児島地裁は九電の主張や原子力規制委員会の公式見解の「言いなり」にもなっていない、論理的、常識的な内容にもなっていいない代物です。他方福井地裁決定は、原発事故や、過去の地震等の事実に基づいた常識的判断です。昨年5月の大飯原発差止判決同様に大変わかりやすい内容です。専門的、科学的では無いとされますが、そのような要素なしで判断出来るのです。
この2つの裁判所の決定に対し、朝日新聞などは、鹿児島は、旧来の手法、伊方最高裁判決に従ったものとし、福井地裁は、国民の側に立った判断などとぼけたコメントをしてますが、福井地裁の決定の中で言ってるようにこのほうが「万が一にも事故は起こしてはならないという」伊方最高裁判決に従った普通の判断です(この点はも詳細略)。
また、福井地裁決定について「限りなくゼロリスクを求めるもの」との評価もあるが、
上記の通り、基準地震動の改訂や安全余裕をきっちりさせろと言っているだけです。
ただ、そもそも、日本はプレートがひしめきあっていて、そもそも、そんな所に原発を作っているのは日本くらいです。最近のネパールの地震のあるとおり、プレート付近では深刻な被害を起こします。日本の原発の場合は、地震と津波との二重被害です。関電は裁判では、「若狭湾の原発は、プレートから200KM離れている」と述べてますが、福島の原発でもその位離れていました。
勿論福井地裁の決定は「起こるはずがない」とされてきたことが現に起こり、多くの人たちの人生に回復が不能なほどの影響を与えた福島原発事故の現実を直視しているもので、鹿児島地裁の決定は、もし事故が起これば「想定外」(福島事故後の東電の当時の清水社長の国会での弁解)と言うしかないという立場なんでしょうね。しかし、決定文を常識的に判断、比較するだけで、どっちが正しいのか自ずから判りますよね。

加納 雄二 について

大阪の弁護士です。債務整理、離婚、相続、労働事件等幅広く取り組んでます。 加納雄二のホームページ
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