その通りと言えるかも知れない。しかし、少し前に、私は大熊町等、汚染のきつい地域に入った。低い線量のところもあるが、住宅地以外は除染もしておらず、高濃度だ。除染するよりも、汚染度のきつい地域を広範囲に買い取ってしまい、除染費用を賠償に回したほうが合理的とも言える。汚染水処理にとどまらず、原発から放射能の流出も続いている。
他方、除染をすれば、相当線量を下げることもでき、年間20MSV程度にできるところもある。一般的な安全の基準が1MSVとしても、大人が我慢して住むというのであれば、その意思を無視すべきではない。勿論、賠償を貰って出て行きたいという人もいるだろうが、それもまたその人の意思だ。どちらが正しいと決めつけるべきではない。
このことは中間貯蔵施設のことについても言える。福島原発地元の大熊町や双葉町の広範囲の土地が、中間貯蔵施設として買収されようとしている。しかし、ここでも、手放したく無いと言う人がいれば、その意向は無視すべきではない。沖縄基地の敷地だって、借地として貸している人が多数いる。
先祖伝来の土地を手放したくない、我慢しても住みたい、将来子孫が戻ってくることに希望をつなぐ、という人の意向は正当である。加害者である国家がそれらの人の意向を勝手に無視して、一律に処理するのは絶対におかしい。
目先の経済的のみを考えて、安全性に疑問を呈する意見を無視した結果が今回の事故である。 多少次元が異なるが、合理性、経済性のみを考え、住民の意向を無視するのもまた災害ではないだろうか。
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