朝日新聞の3日前のニュースによると、
「経済産業省原子力安全・保安院は27日、定期検査で運転停止中の九州電力玄海原発1号機(佐賀県)の原子炉圧力容器が予想以上に老朽化しているとの専門家の指摘に「十分に健全だ」とする検証結果をまとめた。」
だいたい、活断層の問題でも、再調査をすれば電力会社側は安全と言う。でも問題起こして責任とれるの?
それはともかく、日本は老朽化原発大国である。
井野国満氏のコメントによると、「これは、圧力容器の「中性子照射脆化」というもの。原子炉内で核分裂が起きると、炉内に発生した中性子が飛んで、圧力容器の内壁にぶつかり、金属にダメージを与えることになる。年月がたつにつれて、これが圧力容器を脆(もろ)くしてしまう。それが中性子照射脆化と呼ばれる現象です。
一般に原子炉というと、非常に頑丈で、何か特別な材料でできているように思われがちですが、実はまったくそんなことはありません。圧力容器は鉄にニッケルやモリブデンなどを多少加えた鋼(はがね)でつくられていて、配管にいたってはステンレス製で、これは家庭用の流し台の素材と同じです。原子炉というのはそういうごくありきたりの金属でできています。したがって、他の一般的な機械と同様、経年によってガタもくれば、老朽化もする。しかも、その老朽化において原発特有の原因があり、それが中性子照射というわけです。」
要はパリンと割れるような現象が起こりうるのですが。
簡単に言えば、中性子線によって金属の柔軟性・弾力性が失われて「硬く」 なり、壊れやすくなる、。金属の場合、劣化が進むと、「ある温度」(脆性遷移[ぜいせいせんい]温度と言います)より低くなると、まるで陶磁器が割れるように、小さな力であっさりと割れてしまうようになります。 この現象が、玄海原発1号機のような老朽化原子炉では進んでいるのです。
通常、鋼の脆性遷移温度はマイナス20度くらいです。しかし、中性子線を浴びることによってこの温度がだんだんと上昇していきます。この温度が高いほど、原子炉は危険になります。なぜなら、地震等で緊急炉心冷却装置が作動し、圧力容器を冷やさねばならなくなった場合、この「冷やす」という必要不可欠な操作自体が、危険を招くことになるからです。玄海原発1号機の場合、この温度が、なんと「98度」になっているのです。ガラスのコップに熱湯を注ぐと、割れてしまいます。これはコップの内側と外側の温度差によって生じる力に、ガラスが耐えられなくなるからです。原子炉の場合は、これと逆になります。 高温の原子炉の中に、緊急冷却のために水を入れる。
すると、それによって圧力容器が破壊されてしまう。「脆性遷移温度」が高いということは、その際、より早い段階で容器が壊れる危険性が出てくる、割れやすい、ということになります。
ちなみに九州電力が公表している玄海原発1号機の脆性遷移温度は、’76年が35度、’80年が37度、’93年が56度でした。最新の’09年の調査で、それが一気に98度へと跳ね上がりました。 なぜこれほど急激に上昇したのか原因は不明です。ただ、圧力容器の鋼材に銅などの不純物が混ざっていると、老朽化が早く進み、この温度が高くなることがわかっています。以前は関西電力の美浜原発1号機の脆性遷移温度が最も高かった(81度)のですが、ここの圧力容器には銅成分が少なからず含まれています。玄海原発の場合、単純には説明のつかないところがありますが、どうも鋼材そのものが均一な材質ではない、圧力容器自体が一種の不良品だった可能性も捨て切れません。」
美浜原発も怖いのですが。
精々40年で黙って廃炉。かつ玄海のように老朽化の進み具合が早かったら即廃炉です!!
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